連歌十徳の秘事を知った者を抱えようという有徳人のもとへ現れたのは、博奕に食いつめ、衣の十徳を着たにわか出家。
ある田舎者が新築の地蔵堂に六体の地蔵を安置しようと都へ仏師を探しに来る。すっぱは、我こそ安阿弥直系の仏師と偽り、三人の仲間を呼び集めて地蔵に化けさせる。
三人連れで諸国仏詣でに出たが、そのうちの一人が他の二人にいたずらで髪を剃られて腹を立て、一人別れて立ち戻り、二人の留守宅を訪れ、その妻たちに両人とも溺死したと報告する。
八瀬大原へ同朋のかい阿弥を連れて小鳥を狙いに出た大名が、芝をかざした大原女の一行に出会い、なごやかな野辺の酒宴を楽しむ。
寺の改築祝いの酒の肴にワカメを買ってこいと住持に言いつけられた新発意は、都のすっぱにだまされて、若い女を連れて帰る。住持は怒って二人を追い出す。
新参者と相撲を取り、鼻をつかまれて失神した大名は、土器(かわらけ)で鼻をおおい再び挑戦するが。
妙音講を勤めた後、目の見えない匂当たちは、鞠に鈴をつけ、蹴鞠に興ずる。その様子を見た男が、鞠を取って匂当たちをなぶる。
夜中に庭の桜の花を盗まれた主人が番をしていると、昨夜の花盗人が現れたので捕えて縄をかけるが、古歌を詠ずる優しさに免じ、罪を許す。
連歌に熱中して家を顧みない夫に愛想をつかした妻は、離縁のしるしにもらった箕を被いて出ていこうとするが、夫がその後ろ姿を見て発句を詠むと、脇句をつけて和解する。
伯父に借りた太刀を返しに行く道中が危ないので、わら苞に包んで腥物のように見せかけるが、愚かな太郎冠者はやはり奪われてしまう。