よそ者を泊めてはならぬという宿屋に笠だけを預かってもらい、自分はその笠に宿を借りたと言い抜ける旅僧。亭主と酒宴になり、地蔵舞を舞う。
勝気で口数の多い妻にののしられる吃りの夫は、謡がかりで抗弁するが、逆に妻の怒りを買ってしまう。
使いに行けと命じられた太郎冠者は、親から譲り受けたしびれが切れたと言って、使いに行くことを拒む。
三年ぶりに帰国した鈍太郎を、下京の本妻と上京の愛人が奪い合うが、鈍太郎は双方に条件をつけて和解させ、二人の手車に乗って意気揚々と帰る。
茶の水を汲んで来いと言いつけられた太郎冠者は、清水に鬼が出たと偽る。いぶかった主人が清水へ行くと、太郎冠者が鬼の面をつけて現れる。
大津松本の市に現れたすっぱは、田舎者の持っている長光の太刀を自分のものだと言い張るが、代官の機転で見破られてしまう。
鯉の調達ができなかった甥は、伯父に嘘の言い訳をする。見抜いた伯父は、鱸を食べさせてやろうといって、話だけの馳走をする。
太郎冠者か鞍馬の多聞天からさずかった福ありの実(梨)を、主人は拍子にかかって受け取ろうとする。
津の国のはじかみ(しょうが)売りと和泉の国の酢売りが道連れになり、それぞれの系図自慢。はじかみの「カラ」と酢の「ス」を織りこんだ洒落の応酬を繰り広げる。
丹波から届いた栗を、主人の言いつけで焼き上げた太郎冠者は、試食のつもりが全部食べつくしてしまう。その言い訳は・・・。