播磨の国・清水の浦で、旅僧の前に現れた大蛸の亡霊が、漁師たちに食べられてしまった無念さを物語る。
渋柿を甘いといって売りつける柿売りが、逆に試食をさせられて渋っ面をかく。
わが子を地蔵に仕立てて金津の男に売りつけた親が、在所一同、踊り念仏に浮かれる間にわが子を取り戻す。
粟田口が刀の銘とは知らぬ大名が、太郎冠者が連れ帰った粟田口と自称するすっぱに翻弄される。
山の中で、蟹の精に出くわした山伏と強力は、行力の甲斐もなく、耳をはさまれ散々に痛めつけられる。
かぶると姿が見えなくなる不思議な頭巾を手に入れた井杭が、自分を探そうとする知人と易者を翻弄する。
黄金づくりの太刀を作るから鎌倉へ行き「金の値」を訊いてこいと命じられた太郎冠者が、鎌倉の寺々をめぐり「鐘の音」を聴いてくる・・・。
大酒のみの妻に嫌気がさした男が、因幡堂にこもって新しい妻を得ようとするが、その新しい妻とは・・・?
都落ちをした藪医者武蔵野の原へさしかかると、にわかに落雷。腰を打った雷は藪医者の治療を受けて、ふたたび昇天する。
妻乞いをした主人が、歌で詠まれた女の住所を忘れてしまい、歌関を設けて通行人を止めてたずねることにする。