盗みに入った家の座敷で、寝ている赤ん坊を見つけ、その愛らしさに、盗みに入ったことも忘れて、あやして戯れる人の善い盗人。
播磨の国・清水の浦で、旅僧の前に現れた大蛸の亡霊が、漁師たちに食べられてしまった無念さを物語る。
供も連れずに北野天満宮の御手洗祭に出た大名が、通りがかりの昆布売に太刀を持たせるが、逆に太刀で脅されさまざまな音曲で昆布を売らされる。
連歌仲間に愚弄された気の弱い夫をけしかけて、講中の家々に夫ともども怒鳴りこむ気丈な妻。
主人に、都の伯父を連れて来いと言いつけられた太郎冠者は、間違えて見乞の咲嘩(みごいのさっか)と称する都のすっぱを連れて帰る。その接待の結末は?
主人に無断で竹生島参りをしてきた太郎冠者は、みやげ話に、竜、犬、猿、蛙、蛇にまつわる秀句を聞かせるが・・・。
船賃を持たないで神崎の渡しにさしかかった僧が、茶屋の亭主に教えられて、秀句好きの船頭につけこんでただ乗りをしようとする。
借金のたまっている酒屋に、祭に入用な酒を買いに行かされた太郎冠者は、津島祭や流鏑馬の話しで酒屋を油断させ、酒樽を持ち去る。
美人の妻を連れて花見に出かけた座頭。おりから通りかかった猿曳が、匂当の妻を誘惑し、身代わりに猿を置いて逃げ去る。
茶坊主・通円の亡霊が、旅僧の回向で現れ、宇治橋の供養に茶を点て過ぎて死んだ時の模様を物語る。