正月、弓の弦に張る松脂を煉る行事に、松脂の精が出現し、松脂のめでたいいわれを語って聞かせ、みずから煉り納める。
名を問われて、ふと出まかせに「腹立てずの正直坊」と名乗った旅僧は、さんざんに愚弄され、ついに堪忍袋の緒が切れる。
加賀の百姓は菊酒、越前の百姓は鏡餅を領主の館に納め、年貢によそえた歌や奇抜な歌を詠み、めでたく舞い納める。
ある男が成人した一人息子を連れて、知合いの老尼に烏帽子親になってくれと頼む。老尼は庵太郎比丘貞と命名して引き出物を贈り、乞われるままにめでたく舞を舞う。
一芸に秀でた者を聟に取るという有徳人のもとへ聟入り志願の男、弓の名人と触れ込み、放生川で浮き鳥を射損じ、歌を詠んで取り繕うはずが・・・。
大嘗会の鉾を持つ役を仰せつかった大髭自慢の夫と、その髭を嫌って剃れという妻の争い。妻は近所の女房どもと語らって攻撃し、夫は髭の周りを櫓で守って防戦するが・・・。
二人の参詣人が、鞍馬の毘沙門天の前で連歌を詠むと、毘沙門天が出現し、二人に鉾と鎧兜を授ける。
聟入りに際し、作法を知らない聟は、いたずらな知人が教えるままに、素襖の上を足にはき、後ろを狩猟の敷物・引敷で隠して出かける。
神前にぬかずき「福は内」と豆を囃す二人の参詣人の前に、明るい笑い声とともに福の神が出現、富貴繁盛夫婦和合を説いてめでたく舞う。
山仕事から帰った弟の様子がおかしいので、兄は知り合いの山伏に祈って治療してもらおうとするが、山伏が祈ると弟は奇声を発する。やがて、兄へも感染し・・・。