前夜の酒席で出た土産の柑子を主人から預かった太郎冠者。食べてしまった口実を、長々と物語る。
にぎにぎしい祇園会の行列の先頭で大太鼓を背負う、気弱な夫の晴れ姿を見て、妻は誇らしく思う
斎(食事)の出る檀家と布施(お金)の出る檀家の、どちらへ行こうかと迷ううちに遅刻した出家が、双方からなじられる。
約束の柑子をよそへ又売りしてしまった山家の男が、柑子の代わりにわが子を鬼の姿につくって俵に入れ売りつける・・・。
比叡山三面の大黒天の神前。二人の参詣人が連歌を詠むと、大黒が出現し、それぞれに槌と袋を授ける。
鞍馬へ参詣した主従。利根草の蓼(たで)を食べた主人が太刀を置き忘れ、鈍根草の茗荷を食べた太郎冠者がそれを拾い、鈍根草のいわれを主人に語って聞かせる。
ばくちで食いつめて、にわか坊主となった主従。田舎者から法事を頼まれ、はやり歌をお経めかして唱え、施物をまきあげて逃げ去る。
太郎冠者の家にある「太子の手鉾」とは、雨漏りを防ぐ槍のこと。 その意味は「もりやをとめる」という洒落。
説教の下手な僧が泣き役の老尼をやとって連れてゆくが、老尼は寝込んでしまって役に立たず、そのくせ報酬だけは要求するので、僧は怒って拒絶する。
春のひと時、花見をしていた橘の精一族と茄子の精一族が、和歌の争いから乱闘になるが、嵐に見舞われ、あまりの寒さにそれぞれの棲みかに退散する。