留守番に米蔵を預かった太郎冠者と、酒蔵を預かった次郎冠者。両方の蔵の窓に樋をかけ渡し、酒をそそぎ飲む・・・。
美濃の国・本巣の郡に住む祖父が、山奥に湧く不老不死の薬水を飲むと髭も髪も真っ黒になり、腰も伸びる。飲みすぎて赤子に戻ってもいけないと、ほどほどにして帰宅する。
鞍馬へ参詣に来た二人の男は、鳥追いの道具を「鳴子」か「遣子」かと刀を賭けて言い争うと、茶屋が仲裁に入り・・・。
ある男が、笛吹きを伴い、五条の橋で妻乞いをする。笛の音に惹かれて現れた女は、笛吹きを夫と思い追いかける。
雪かきをする隣り合わせた若者と百姓が、雪の処分で争うところへ、仲裁に入った老僧。ついで家の中から出てきた若者の母親は、実は老僧が若者の父であると告白して・・・。
美濃、淡路、尾張の国の百姓が、揃って年貢を納め、一首の歌を三人で詠み、褒美に万雑公事を許されて、帰国する。
日本人の妻と結婚した中国人の夫が、母国に残した妻を恋しがるので、腹を立てた日本人の妻は・・・。
兄から日ごろ「舎弟、舎弟」と呼ばれるが意味のわからぬ弟は、人にからかわれて「盗人」の別名だと教えられ、兄と喧嘩になる。
大和の酒屋と河内の酒屋が、酒器の名と「筒」か「竹筒」かと争っていると、鳩の神が出現し、双方とも同じ意味だと説き、松尾大明神の威徳を語る。
頭を剃るよう師匠に命じられた重喜は、師の影を踏むまいと、長い柄をつけた剃刀を扱ううちに、誤って師匠の鼻をそぎ落としてしまう。