淡路の百姓は柿を、丹波の百姓は昆布を、領主の蔵へ納め、問われるままにめいめいの珍妙な名前を、リズムに乗せて答える。
中国へ渡った日本の相撲取りが、帰国の名残に宮殿で大勢の臣下と相撲を取り、最後に帝王と手合わせをする。
身障者を召抱えようという有徳人の家に、盲目・いざり・唖をよそおった、三人の食い詰めたばくち打ちが集まる。
物覚えの悪い僧が、衣の袖に書いた自分の名前を、川にはまって流してしまう。川の名は名取川・・・。
太郎冠者が都で覚えてきた「二千石」の謡を聞いた主人は、怒って、その謡の大切な由来を物語る。
伯父に借りた馬は咳払いをすると暴れだす妙な癖がある。日頃の鬱憤晴らしに太郎冠者が咳払いをすると、主人は落馬してしまう。
秀句を習おうと、秀句の得意な新参者を召抱えた大名は、その者の言葉をすべて秀句だと思い込み、太刀・刀・衣服まで褒美に与えてしまう。
六角堂の悪坊と称する乱暴者が、道連れになった出家によって改心し、仏道修行に出る。
冥土へ向かう途中で閻魔王に出会った朝比奈三郎が、戦の手柄話を聞かせて、閻魔王に極楽への導きをさせる。
口論する山伏と僧侶が、茶屋の仲裁で人食い犬を祈り鎮めたほうを勝者としようとする。結果は・・・。