神前にぬかずき「福は内」と豆を囃す二人の参詣人の前に、明るい笑い声とともに福の神が出現、富貴繁盛夫婦和合を説いてめでたく舞う。
清水の観世音に妻乞いをした男の前に現れた女は、住所を問われると春日の里・室町の角から「にく」と答えて立ち去る。男が18軒目を訪ねると、女はいたが・・・。
聟入りに際し、作法を知らない聟は、いたずらな知人が教えるままに、素襖の上を足にはき、後ろを狩猟の敷物・引敷で隠して出かける。
酔いのまぎれに妻を追い出した大酒飲みの夫は、翌日、しおしおと妻の実家を訪ねる。舅はいないとつっぱねるが、妻は夫の声を聞くとたちまち未練が起こる。
六道の辻で罪人を待ち受ける閻魔大王の前に現れた亡者は、昔閻魔の稚児だった八尾地蔵からの手紙を差し出す。見れば、信心深いこの亡者を極楽へ送れとの文面。
遊山に出た主従が川を渡ろうと舟を探すが、「ふね」と呼ぶか「ふな」と呼ぶかで、古歌を引いて言い争う。
日照りが続き、隣り合わせに田を所有する聟と舅は、互いに自分の田へ水を引こうとして争い合う。女房は、夫と父の板ばさみになるが、結局は夫に加勢する。
住持は新発意に寺を譲るにあたり、来訪者への応対の作法を教えるが、その口上を取り違えた新発意は・・・。
盆山の影に隠れた盗人は、その家の主人から、犬だ、猿だとからかわれ、最後には鯛だと言われ、飛び跳ねながら逃げる。
野中の清水へ水汲みに来た新発意は、かねて思いを寄せる門前のいちやが濯ぎ物をしているのを見つけ、小歌に託して恋心を訴える。