六道の辻で罪人を待ち受ける閻魔大王の前に現れた亡者は、昔閻魔の稚児だった八尾地蔵からの手紙を差し出す。見れば、信心深いこの亡者を極楽へ送れとの文面。
美濃の国・本巣の郡に住む祖父が、山奥に湧く不老不死の薬水を飲むと髭も髪も真っ黒になり、腰も伸びる。飲みすぎて赤子に戻ってもいけないと、ほどほどにして帰宅する。
和泉の百姓は蓬の矢、河内の百姓は桑の弓を領主の館に納め、それぞれ年貢のめでたいいわれを語り、弓矢の威徳を謡って舞い納める。
天神講の夜、臆病者の太郎の肝試しをしようと講中の者の計略で、太郎を森に行かせ、鬼に化けておどそうとするが、太郎も鬼に化けているので、互いに鬼が出たと勘違いする。
勝気で口数の多い妻にののしられる吃りの夫は、謡がかりで抗弁するが、逆に妻の怒りを買ってしまう。
大津松本の市に現れたすっぱは、田舎者の持っている長光の太刀を自分のものだと言い張るが、代官の機転で見破られてしまう。
匂当が供の座頭を連れて川にさしかかり、石を投げて浅瀬を探る。この様子を見たいたずら者が、座頭に背負われて川を渡ってしまう。
説教の下手な僧が泣き役の老尼をやとって連れてゆくが、老尼は寝込んでしまって役に立たず、そのくせ報酬だけは要求するので、僧は怒って拒絶する。
寺の茶会に招かれた男についてきた新発意は、小川を飛び越えられず、川にはまって濡れ鼠になる。
物覚えの悪い僧が、衣の袖に書いた自分の名前を、川にはまって流してしまう。川の名は名取川・・・。